アルコールの多量接種が原因で引き起こされる認知症のことを「アルコール性認知症」と言います。もし、アルコール性認知症になってしまった場合、どのように治療するのでしょうか。アルコール性認知症の場合、認知症の原因となっているものがアルコールであることがはっきりしているため、ポイントとなるのはアルコールを止めることです。
アルコールを断つ、つまり飲酒をやめることはアルコール性認知症に有効な治療法の一つです。特にアルコール依存症になっている人の場合、完全にお酒を断つことが肝要になります。改善が見られるまでには時間がかかりますが、お酒を断つことによって認知症の症状が緩和したという報告も寄せられています。アルコール依存症の人が完全にお酒を断つのは簡単ではありません。家族の協力が必要になりますが、限界を感じる場合には無理をせずに施設の利用や自助グループへ加わるのも一つの手です。
アルコール性認知症の治療では、薬物療法も用いられます。例えば、アルコールを飲みたくなる気持ちを抑制する薬などが処方されます。もっとも、薬を飲めば全くアルコールを欲することがなくなるというわけではありません。上記で説明したように、まずは自分でもアルコールを完全に断つための努力をすることが大切です。その上で、医師に薬も処方してもらうことができます。アルコールを飲まないだけでなく、バランスの取れた食事や運動習慣、睡眠時間などにも注意を払いましょう。このように、アルコール性認知症の治療は、生活バランス全体の見直しと改善が必要です。